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INTERVIEW

野沢温泉村を好きになってもらうために
—— 遊びを地域創生につなげる

nozawa green field代表 河野健児氏

— 後編 —

スキークロスの日本代表選手として、ワールドカップでも活躍してきた河野健児氏。
現在は地元・野沢温泉村でスキーヤーとして活動しつつ、nozawa green fieldの代表や観光協会の理事など、
様々な立場でまちづくりに携わる氏に、地域創生の展望やふるさと納税の可能性についてお伺いします。

聞き手:安住紀宏 (lefthands) / フォトグラファー:川口賢典(stoique) / 編集:大野重和(lefthands)

2020.01

今の時代に合わせた地域づくり

— 前回は、スキーヤーや野沢温泉村観光協会の理事としての活動についてお聞きしました。後編では、ふるさと納税についてや、野沢温泉村の地域創生における課題といったことに関してお伺いしていきます。その前に、まずは河野さんのバイタリティの源について教えていただけますか?

河野氏(以下敬称略):やりたいことをやりたいというのが大きいですね。例えばSUPキャンプについては、もともと岩が多い日本の川に合うSUPの道具が海外ブランドになかったので、だったら自分たちでつくろうということになったのがきっかけです。そこから、キャンプと一緒に行うようになって、SUPキャンプというのを思いついた。そんななかでTHE NORTH FACEに声をかけてもらって、高知・四万十川でツアーを組むようになりました。

— SUPツアーを企画していらっしゃるnozawa green fieldでは、ツリーキャンプに参加すると畑の野菜を自分で収穫して食べることができるそうですね。

河野氏:土地が余っていたので、父親が農業をしていることもあって、畑を始めました。意外と体力を使いますし、一種のスポーツのようで面白いですよ。

— では野沢温泉村観光協会の理事として、今後もし、ふるさと納税に関わるとしたら、提案してみたい返礼品などありますか?

河野氏:野沢温泉村には、日本3大火祭りの道祖神祭りが毎年1月15日に開催されます。それと、湯沢神社という村で一番大きい神社でも、毎年9月の8、9日にお祭りがあります。どちらも運営しているのは村出身の厄年を迎えた42歳の男たちなんですが、年間70日ほど祭りの準備にかかるのが非常に大変で。

— そんなに時間がかかるんですね。

河野氏:自営業の人は毎回駆り出されることになります。この運営システムができたのはかなり前の話で、おそらく60年くらい前だと思います。当時は学校の1学年に60人以上いたような時代でしたが、今は人が全然少ないので、運営がかなり苦しい。

— 過疎化、高齢化は日本全国の課題ですよね。

河野氏:そこで、返礼として運営をお手伝いしてもらいながら、お祭りに特権的に参加してもらえるシステムというのを考えています。

— 観客として参加するのでは味わえない、特別な体験ができて良いですね。

河野氏:返礼品として物を返すだけでなく、体験を提供するというのは他の自治体でも行われていますが、道祖神祭りは全国的に有名な火祭りなので、野沢の色が出せて良いのではないかと思います。それと、野沢温泉は約3,500人の人口のうち、冬季オリンピック選手を16人も輩出している町でもあります。例えば、選手を誰か指定して1日レクチャーしてもらえるといった返礼なら、他の場所とは違ったやり方のふるさと納税になるし、村のPRにもなるのではないでしょうか。

— 次に観光協会の理事として、野沢温泉村の課題はどこにあると考えていらっしゃいますか?

河野氏:雪が降らないシーズン、特に夏の集客をどうするかというのは、ずっと言われてきたことです。バブルの少しあと、1993年頃まで日本ではスキーバブルが続いていて、当時のスキー場の来場者数は110万人。ほぼ全てが日本人でした。今の3倍弱近くの人数です。

— 前半でお話いただいた、インバウンドのお客様が多いという現状とは真逆ですね。

河野氏:そうですね。もっと通年で人に来てもらえるようなまちづくりを目指したいです。アクティビティでいえば、僕がやっているSUPや、マウンテンバイクなどもありますが、それよりも一年中楽しめる外湯を中心に、夏の観光資源をつくっていければ面白いのではと考えています。

— 全国的に高齢化が進むなかで、いかにして外から若い人に来てもらうかという課題もありますよね。

河野氏:現実的には移住というのはなかなか難しいと思います。それよりも、たくさんの方に野沢温泉村を好きになってもらうことが大事ではないでしょうか。今でいう交流人口を増やして、第二の故郷みたいな地域づくりができればと考えています。

— そういった意味では、アクセスのしやすさは強みですよね。

河野氏:北陸新幹線ができて、東京から3時間かからずに来れるようになりました。大阪からもそれほど遠くありません。それでもまだまだ遠いというイメージがあると思いますので、もっとプロモーションが必要ですね。あるいは、どこででも仕事ができる時代にどんどんなっていきています。もちろん観光地として観光客の皆さんに来てもらうことも大事ですが、今の時代に合わせた地域づくりが必要だと実感しています。

50年後、100年後を見据えて

— 地域創生に取り組まれている河野さんですが、「ANAのふるさと納税」についてはどのように思われますか?

河野氏:航空会社のANAが、ふるさと納税に取り組んでいるというのがすごいなと思いました。たくさんの人たちが飛行機を使っていろんな所に行くわけですから、ふるさと納税をとおして様々な地域を知ったら、じゃあANAを使ってそこに行ってみようかという気持ちになりますよね。

— 実際に、その地域を訪れていただきたいという想いから、「ANAのふるさと納税」をとおして寄附していただくと、マイルが貯まるようになっています。

河野氏:僕はグランドスタッフやCAとしてANAに勤めている友人が多いのですが、新しいことにチャレンジしている企業という印象を受けますね。そしてやはり安心感があります。例えば、SUPのツアーで高知・四万十川に行く際は、お客様の道具も持っていくので、僕は道具と一緒に車で向かっています。その後に奥さんと息子は羽田から向かうのですが、毎回ANAを利用していますよ(笑)。

— では、河野さんがANAとコラボレーションするなら、どんなことをやってみたいですか?

河野氏:野沢温泉村には空港がなくて、一番近いのが小松空港なので、日本国内では野沢は空港から遠いというイメージがあると思います。ですが、今盛んにきていただいているインバウンドの方たちは、石川富山長野方面を訪れる目的で小松空港を利用されています。そのため、インバウンド向けにANAと野沢温泉村が協力してできることはあると思いますね。

— 日本人にとっては、遠出する際に、近くに空港がない場所は行きづらい感覚がありますが、海外の方たちは車で移動するのが苦にならないようですね。

河野氏:野沢温泉は、13カ所ある外湯の建物は純和風なんですが、スキーバブルの頃に地元の人たちがそれぞれの好きなデザインで宿をたくさん建てたので、街並みが外湯の景観に合わないんです。当時はまだ、景観条例がなかったですから。50年、100年かかってもいいから、外湯の景観に合わせてまちづくりをしていけば生き残っていけるのでは。僕は、観光協会のなかで村の人たちにそう言っています。

— 少しずつ和の情緒を持った街並みにしていければ、海外の人にも日本人にも売り出していけますね。

河野氏:白馬やニセコと違って、野沢温泉は人口3,500人くらいの本当に小さい村なので、一丸となってのまちづくりも可能だと思います。僕の息子がおじいさんになる頃に街並みを統一できれば、世界で唯一、温泉もスキーも楽しめて、さらに日本らしい景観を満喫できる場所になるのではないでしょうか。

— 最後に、河野さんご自身の目標をお話しいただけますか?

河野氏:これからも、自分がやりたいことをブレずにやっていくということを大事にしていきたいです。自分だけ楽しければいいのではなくて、皆さんに共感していただいて、一緒に新しいことや面白いことができればいいなと思います。

— これだけ様々な取り組みをなさっていて、さらにチャレンジし続けるというのは素敵ですね。

河野氏:息子も色々な場所に連れて行って、僕が知っているものは全部彼に体験させてあげたいなと思っています。知っているまちでも、息子と見たら違う刺激がありますし。僕もまだまだいろんなところに行っていろんなものを見たいし、息子にも見せたい。そういう時に使うのがANAです(笑)。

河野健児氏

kenji Kono

1983年長野県野沢温泉生まれ。小学校から高校卒業までアルペンレーサーとして活躍し、2002年にフリースタイルスキー・スキークロスに転向。12年間、ナショナルチームメンバーとしてスキークロス世界選手権、ワールドカップ、X-GAMESに参戦。元全日本チャンピオンで、ワールドカップ最高位は4位。現役を退いた現在もスキーヤーとして国内外の山に足を運ぶ。故郷でもある野沢温泉村を拠点に、nozawa green field代表として一年を通して自然の中に身を置き、アウトドアスポーツの魅力を発信。また、野沢温泉村観光協会の理事も務めている。

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